
皆さんこんにちは!
有限会社相原電気工事店、更新担当の中西です。
“切らさない電気”を支えるのが幹線。需要計算→ケーブル断面→電圧降下→保護協調→配線方式→配管/ラック納まり…と意思決定が連鎖します。ここでは式と現場感覚を両立させて、迷わない設計・施工の要点をまとめます。
1|需要計算の原則
需要率×同時使用率で最大需要を見積。用途別係数は“保守的に”設定。
将来余裕:幹線は10〜30%の余力を。盤スペース/ラック幅も拡張性を考慮。
負荷の性質:モータ多用→始動電流・力率、LED多→高調波。用途で配線・保護を最適化。
2|電圧降下の考え方⚡️
目安:幹線2〜3%以内、支線+幹線で5%以内。
計算の勘どころ:長距離・大電流・低力率で降下が増。経路短縮と断面アップで解決。
実務では許容温度・布設方式(ラック/管/隠ぺい)で許容電流が変わる点に注意。
現場ショートハンド(例)
60m/100A/三相200V → 38sqでOKか?→ 温度・布設で補正、端末の曲げ/接続もセットで判断。
3|配線方式の選定
CV/CV‑T/CVT:幹線定番。耐熱と布設のしやすさで使い分け。
EM‑EEF/EM‑ELE:難燃・低煙。避難経路や人の滞留空間で有効。
ケーブルラック:見せる/隠すの判断。意匠と保守性のバランス。
金属管/合成樹脂管:機械的保護優先。露出配管は“通り”“同心”が品質。
4|配管・ラックの“納まり”術
幹線は最短/最小曲げで。曲率と引張を守り、引込・引出を整然と。
交差は直角、並走は離隔。弱電との離隔はノイズ対策の基本。
ラックは両端の支持と中間支持。振れ止めと接地を忘れない。
5|保護と協調
遮断器は遮断容量>系統短絡容量。協調は上位→下位へ段差。
モータ回路は始動電流に合わせ、過電流継電器・サーマルを適正化。
6|施工品質の勘どころ
曲げ半径:ケーブル外径×8以上が目安。端末で無理をしない。
トルク管理:結線は規定値。締付け過大は発熱・緩みの原因。
ラベリング:幹線→盤→回路で同一ルール。将来改修の命綱。
通線計画:引張荷重・潤滑剤・人員配置。**“引きの段取り”**で品質が決まる。
7|ケーススタディ(物流倉庫・延長150m)
需要 450kVA、力率0.9。幹線CVT 150m。→ 断面選定 + 電圧降下 + ラック計画 + 熱を一体で検討。
結果:CVT 250sq×3C×3条、ラック600幅、分岐は近傍で降圧抑制、端末はストレスコーンで丁寧に処理。
8|まとめ
幹線は“電気の大動脈”。需要→降下→方式→納まり→保護の順で考えると、判断がぶれません。数式と現場感覚を両輪に、無事故・無停止の電気を形にしましょう。次回は分電盤・配電盤の計画術へ。